日本核磁気共鳴学会の発足にあたって
このたび、NMR討論会が母体となって、日本核磁気共鳴学会が発足することになりました。日本におけるNMRの学会活動の拠点として、永年の懸案であった日本核磁気共鳴学会が実現したことを、学会設立のために努力された多くの同僚諸氏とともに、心より嬉しく思っています。
NMR討論会は、1961年以来、国際磁気共鳴シンポジウム(1965年、東京)をはさんで毎年開催され、昨年40回を数えることになりました。過去40回のNMR討論会の歴史は、日本におけるNMR研究の発展の歴史そのものでもあります。とくに近年、日本におけるNMR研究の発展は目覚しいものがあり、優れた研究成果がNMR討論会において報告され、論文として続々と国の内外に発信されています。
日本のNMRのさらなる飛躍のためには、志を同じくする国内外の研究者が、これまで以上に緊密に交流する場を日本に設定することが必須です。このたび日本核磁気共鳴学会が発足したことは、この点において、きわめて意義深いものと確信しています。
我々の眼前には、なお無限ともいえるNMRの魅力的な可能性が待ち受けています。NMRに関わりをもつすべての研究者諸氏、とくに、これからに日本のNMRを背負っていく若い研究者諸君の積極的な参加によって、日本核磁気共鳴学会が国際的な影響力のある学会に成長し、それとともに、日本のNMRがさらに大きく発展していくことを心から願っています。
平成14年3月1日
日本核磁気共鳴学会
会長 荒田 洋治