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Last Update : 2020.09.24 

会長のご挨拶

日本核磁気共鳴学会会員の皆様へ

 学会を活性化する駆動力とは

2020 年度の第一回理事会は、当初予定していた秋葉原の会場に集ってではなく、ネットワークを介したウェブ会議にて始まりました。ご存知のように、新型コロナウィルスの猛威により、外出や集会を控えることになったためです。実は 1 年半前の北海道胆振(いぶり)東部地震の後でも総会、理事会がメールを通しての開催に置き換えられました。この 2 回の異例を通して感じたことは、顔と顔をつき合わせての会議がもっとも良いことはもちろんであるが、このような違った方法であっても、試してみると私自身の予想に反してかなり上手く運んだことでした。皆様のお勤めの会社や大学でもウェブ会議やテレワークになっているところが多いかと思います。私の大学でも GW が終わった後に何とか授業を始めるものの、それはウェブで行うことが決まりました。各学生が自宅や下宿で PC やスマホで受講するという状況はまず不可能と思われましたが、当の学生の多くはこの環境の大変化に対してうまく適応しているように見えます。もしかすると、毎日心配して対策に疲れ果てているのは教員だけなのかもしれません。さらに学生達はオンラインで飲み会まで楽しみ、ウェブ会議システムをすでに使いこなしているようでした。さまざまな困難の多くはおそらく技術の進歩が補ってくれること、そして、その新技術の導入を難なくやってのけるのが若者であることを痛感したこの数ヶ月間でした。

そのような貴重な若手ですが、NMR に関する分野に限らずかなり減っているように見えます。昔は NMR 討論会には多くの大学院生が集まっていました。しかし、最近は参加者の平均年齢がかなり上昇したように思えます。少子化が大きな原因となっていますので、学会としてどのような方策をとれば若手の参加を増やすことができるのかは難しい問題ですが、当学会は 45 歳未満の優秀な研究者に進歩賞を授与することを決めました。これまでの若手研究者渡航費助成金や若手ポスター賞とともに、モチベーションに加えて頂ければ幸いです。また「若手 NMR 研究会」の活動も注目に値します。まだ参加されたことがない方は是非その雰囲気を味わわれることをお勧めいたします。議論されている内容が非常に高度であること、さらに参加者の年齢層は予想外に広がりがあるため十分に溶け込めることが実感できるでしょう(年齢制限はありません)。参加まではと遠慮される方は是非 HP だけでも御覧ください。

このような学会の賞、学会誌、NMR 討論会も含めた様々な集会で不可欠な要素は資金です。そして、その多くに支出して頂いているのが企業であり、ただただ感謝の一言に尽きます。産業とアカデミックの連携がもたらす恩恵はこれに限りません。連携が強化されると、企業が NMR をもっと使うようになるでしょう。企業とアカデミックとの共同研究や共同利用も増えるはずです。すると、より多くの学生がその企業に就職することでしょう。しいては NMR を使って研究をしたいと思う学生がさらに増えるという好循環が生じるのです。

さて、そのような企業と例えばアカデミックとの連携を強め、それに加えて若手を活性化するには、どのようにすればよいのでしょうか? もっとも簡単ですぐに出来そうな事は、学会に参加することです。今年 11 月には群馬県高崎市にて第 59 回 NMR 討論会があり、翌 2021 年 8 月には大阪で国際会議(第 60 回 NMR 討論会, 第 60 回電子スピンサイエンス学会年会, 第 22 回 ISMAR, 第 9 回 APNMR の合同会議)があります。いつもは素通りしてしまっていた企業ブースに少し立ち寄ってみるだけで、新たな繋がりや発見があるかもしれません。さらに、若手 NMR 研究会のかなり打ち解けた懇親会で呑み明かすと、日頃はセールスか研究の話に限られていた人の意外な素顔を見出し驚くことになるかもしれません。昼休みに学会誌電子版をダウンロードして眺めてみると、役立つことが載っているかもしれません。それぞれは小さいことに見えますが、もし全会員が実行したとすると効果は絶大です。

学会選挙に関するニュースレターにも少し目を留めてみましょう(選挙は一般会員だけとなりますが)。評議員や理事の選び方次第で学会の方針や雰囲気が変わり得ます。今年から各一般会員は、評議員の候補者を 5 名まで推薦できるようになりました。そこで、たった 5 分のログインで構いません。有望な若手に一票を投じることは、いろいろな意味で若手への激励にならないでしょうか?

今年の第 21 回若手 NMR 研究会は残念ながら延期となってしまいましたが、それ以外のイベントはつつがなく開催されることを祈り、オンラインではなく直にお逢いできることを楽しみにしています。

2020 年(令和 2 年)卯月

日本核磁気共鳴学会
会長 池上 貴久