チュートリアルコース
本コースについて
好評を得ているチュートリアルコースを、本年も討論会に先立ち開催します。
今年度は4名の先生方にレビューして頂く予定です。
学生・若手研究者を主な対象としていますが、一般の方の参加も歓迎します。参加費は無料です。
概要
日時 | 2014年11月3日(月) 13:00〜18:00 |
講師 |
菊地 淳 先生(理化学研究所) 竹内 恒 先生(産業技術総合研究所) 根来 誠 先生(大阪大学) 寺尾 武彦 先生(京都大学 名誉教授) |
※チュートリアルコースの参加登録は締め切りました。
プログラム
時間 | プログラム内容 |
13:00〜14:00 |
菊地 淳 先生 (理化学研究所)
NMR法を基軸とした論文執筆
世界人口急増の反面、超高齢化社会が形骸化しつつある足元を省みて、本コースへの参加者には難解なNMRの世界を勉強しても、将来にわたって持続的に利用できるか不安な人々がいるかもしれない。一方で学術論文を受理させ足元を固めていけば、学位取得、就職、転職、グラント獲得、あわよくば更にPI等での後進指導へと結びつき、こうした”NMRを基軸とした“人材の持続性が本学会の興隆をも左右するであろう。本講演では蛋白質・代謝物群・バイオマス・環境試料へとNMRを基軸とした論文執筆を続け、自らの職を切り拓いてきた演者の体験を基に、着想・行動・文書化の三要素関係の重要性を述べたい。結論から言えば将来の不安は実績の蓄積で解消され、また当人さえ予期せぬ未来も拓かれる。現状では研究者の実績評価軸は学術論文に重きがあり、良い文書は死後においても無形財産として評価され得る。その論文執筆において最も重要な段階は多様な論文との出会いでもあり、良い出会いが動機と着想を育み、重い腰を上げ、数多くの失敗を乗り越えた際には他者に報告(論文化)せずにはいられなくなる。
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14:00〜15:00 |
竹内 恒 先生 (産業技術総合研究所)
溶液NMR実験をデザインする楽しさ
NMRの魅力は、実験の目的に合わせてサンプルを安定同位体標識する段階から、標識に合わせたNMR実験の実施、測定後の処理に至るまで多くの自由度があり、様々な工夫が可能な点にあると思います。ここではそのような工夫を行った実例と応用例をいくつかお示ししながら、NMR実験をデザインする楽しさ、有効性をお伝えすることが出来ればと思っています。
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15:00〜15:10 |
休憩
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15:10〜16:10 |
根来 誠 先生 (大阪大学)
NMRを1万倍高感度化する技術:DNP 〜その基礎原理から最新の応用研究まで〜
動的核偏極(DNP: Dynamic Nuclear Polarization)は、誕生から60年かけてじっくりと発展を遂げた。現在では様々な試料において、極低温下でDNPを行うことで、通常のNMR分 光やMRIに 比べて一万倍程度高感度な測定が可能である。具体的には、ポリマー、リゾチーム、膜たんぱく質、ウイルス、薬品、アミロイド生成性ナ ノ結晶などの高感度分析、細孔物質の界面解析などへと適用されている。また、高偏極化した物質を溶かして体内に注射することで代謝イメージング、pHイ メージングが可能で、がん治療の効果判定にも応用されている。本講演では、DNPの 基礎原理について説明し、技術的側面における歴史的経緯に沿って上記の応用を紹介していく。また、試料を室温に保ったまま一万倍以上 の高感度化が可能となる「トリプレットDNP」 の進展についても紹介する。
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16:10〜17:40 |
寺尾 武彦 先生 (京都大学 名誉教授)
NMRはいかに創られたか: 8. 二次元FT-NMR
教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、その行間には先人たちの汗と涙がにじみ、フィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの方法論の研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう人物が何をきっかけに歴史的な発想を得たのか、またどんな困難に出くわしてそれをどう解決して研究を完成させたかを人間的なエソードを交えて話す。若い方々が話を通じて優れた科学者の研究に取り組む姿勢や学問に対する情熱を学んで頂ければ幸いである。今回は二次元FT-NMRについて話す予定である。
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